10/15/2008    忌み子 飛影
「 以前は生きる為に戦い、

 勝つ為に手段を選ばなかった。

 目的があったからだ。

 だが、今は無い。

 今は、いかに死ぬかだ。」




「 オレは、忌み子・飛影。

 氷河の国で生まれた、呪われた孤児。」


「 名づけ親は盗賊。

 血が噴き出す寸前の真っ赤な肉の切れ目が好きで

 悲鳴を聞くと薄く笑う、そんな子供。」


「 何年も殺戮に明け暮れた生活をしているうちに

 氷河の国は、もう見つからなくても

 構わないと思うようになっていた。

 時々氷泪石を眺めて思い出す、

 そんな程度の場所になってしまった。」


「 ただの殺しに飽きた頃、

 オレを拾った盗賊達までが

 オレを恐れ、避けるようになった。」


「 石を眺める時間が増えた。

 そして、石を見ると、気持ちが和む自分に気づいた。

 石と向かい合う時間だけ落ち着けた。」


「 土地が変われば敵も変わる。

 中には手強い奴もいた。


「 探し物がふたつになった。

 オレを捨てた氷河の国と、失くした氷泪石。

 もっとよく見える眼が必要だった。」


「 どうした風の吹き回しか、オレは奴の言う事に従った。

 なんとなく寄り道するのも悪くないと思い、

 オレは奴の持っている剣の技術を盗むことにした。」


「 その男と決着を着ける時が来るとは、

 これも運命か。

 いい死に場所かもしれん。」




「 探し物のひとつ氷河の国は

 邪眼の一つ、千里眼ですぐに見つけることができた。」


「 オレが生まれ、オレを捨てた氷河の国。

 何年かぶりの故郷。思い出は何も無い。」


「 オレが手を下すこともなかった。

 そこは既に死んだ町のようだった。」


「 収穫はあった。妹のこと。名は雪菜。行方不明らしい。」


「 雪菜を探して、オレは人間界へ。」


「 垂金の別荘で、妹雪菜を見つけた。

 当然、オレのことは知らなかった。

 オレも何も言わなかった。

 それでいい。」


「 人間界での戦いもそろそろ飽きた頃、魔界から使者が来た。」




「 それは、オレの探している氷泪石ではなかった。

 だが、雪菜の顔を見ているうちに、

 この氷泪石でもいいかと思った。

 オレの目的は無くなり、生きている意味が無くなった。


「 戦うことだけがオレに残り、

 いかに死ぬかを考えるようになった。」



幽遊白書 第100話

生きる目的を失い、死に場所を求める飛影の台詞
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